この度、RED AND BLUE GALLERYでは11月2日から24日まで葵雋卿個展「蓮は泥より出でて泥に染まらず」を開催致します。
葵雋卿(本名 葵大輔 1978年 東京生まれ)は現代に生きるわれわれが、日常生活の中で心地よく感じ、未だ見ぬ古の技法やモチーフに既視感や親近感を覚え、かつ現代の感覚に昇華された作品を目指して制作を行ってきました。RED AND BLUE GALLERYでの初の個展となる本展覧会でも、作家は長い書の歴史の中で先人が感じてきた美意識を現代の感覚で表現することを試みております。具体的にはパネルで掛け軸を表現する、丸扇や扇面を取り入れる、難解とされる金石學を簡略美で魅せる、琳派の金と銀の使い方を大陸の文人が愛した大写意に取り入れる、などなど。また自身の子どもとの共作となる初のエディション作品にも取り組みました。
葵雋卿は今年、東宝映画「蜩ノ記」において俳優岡田准一さん演じる壇野庄三郎の手元出演及び作品提供を担当。この体験を通じ、この映画の主題の一つである「いかに生きるべきか」について、現代を生きる一人の作家として自身の作品との共通性を大いに感じ、今回の作品の背景として実際に映画で使われた「三浦家譜」、「蜩ノ記」及び役所広司さんが使われた硯、岡田准一さんと葵雋卿が使用した墨なども併設展示致します。
混迷を極める現代にあって、作家独自のルールを創造することを以て今の時代を切り取ることが現代アートの潮流とするならば、書家、葵雋卿は「不易―変わらないもの」を掲げて、「いかに生きるべきか」ということを現代を生きるひとつの「個」として紙面に定着させることに挑戦し続けております。
全作品数はすべて新作の29点となります。是非ともご高覧の程、宜しくお願い致します。