NEWS

この度、「PICTOMANCY 熊倉涼子 個展」を8月27日(土)より9月10日(土)まで開催致します。
本展覧会はTAV GALLERY(2014年東京阿佐ヶ谷にオープン。アーティストではなくフリーランスで活動するキュレーターが所属し、次世代アーティストネットワークの構築に尽力している)との初めてのコラボレーションによる企画展です。是非ともご高覧の程、宜しくお願い致します。

  TAV GALLERYのホームページはこちらから。

「Still-life / Vanitas」 キャンバスに油彩 / 60.6×72.7cm / 2015

「Still-life / Vanitas」
キャンバスに油彩 / 60.6×72.7cm / 2015

■開催趣旨

熊倉涼子は一貫して〈ぬいぐるみ〉をモチーフに絵画を制作している。

初期作品では「だまし絵」に類する手法を採り、それらを写実的に描くことで、対象を筆致に置きかえ、イメージに変化させる絵画の営みと、私たちの想像――あるいは妄想――を喚起する装置である〈ぬいぐるみ〉の本性とを結びつけた。戯曲や童話を「背景」に用いたり、春画やプリクラの構図をとり入れたりすることで、鑑賞者によって恣意的な物語が代入される〈ぬいぐるみ〉という形象の寛容さを中心化し、他者のまなざしについて批判的な制作を行っていたのである。しかし、ひとつの技術的な絶頂は、テクスチャに腐心することから彼女を醒めさせた。どの形象もキャンバスの上では均質であるという、ある種、還元主義的な自覚によって、熊倉は「静物画」の系譜を批判的に継承するに至る。〈ぬいぐるみ〉とは、さまざまな形式によって捨象された、ほかならぬイメージである。「画中画」に類する巧智によって、モチーフとしてのイメージを二重化し、まったく質的に損なうことなく再現前することを可能にした。

熊倉は、もはや対象の把握に関する造形的な方法論に拘泥しない。絵画における「イリュージョン」の範疇は、単なる絵画鑑賞における錯覚的な効果にとどまらず、絵画そのもの――描かれたもの――の実在性を存在論的な審級において保障することにかかわっているのである。

■キュレーション 飯盛 希(いさかり まれ)
1990年生まれ 福岡県出身 
東京大学教養学部 超域文化科学科 卒業  
現在、東京大学大学院総合文化研究科 超域文化科学専攻 修士課程  
専門は美術批評、比較芸術

■アーティスト 熊倉涼子(くまくら りょうこ) 
1991年生まれ 東京都出身 
2014年  多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻 卒業

<受賞、その他> 
2011年  第47回神奈川県美術賞 準大賞受賞
2013年  平成25年度 日本文化藝術財団奨学生
2014年  多摩美術大学卒業制作展  福沢一郎賞

<個展> 
2013年  「Frame In-out」ギャラリーKINGYO(東京)

<グループ展> 
2014年  「That I shall say good night till it be morrow.」新宿眼科画廊(東京)
            「吉原芸術大サービス~春一番~」旧吉原地区にて(東京)
            「PLANET JAM」MASATAKA CONTEMPORARY(東京)
            「THE ART FAIR +PLUS-ULTRA -ULTRA Category-」 スパイラルガーデン(東京)
2015年  「ASIA WEEK NEW YORK」Bernarducci Meisel Gallery(ニューヨーク)
            「ART OSAKA 2015」ホテルグランヴィア大阪(大阪)
            「シブカル祭。2015」パルコミュージアム(東京)
            「シブヤスタイル vol.9」西武渋谷店美術画廊(東京)

 

« »