この度RED AND BLUE GALLERYでは4回目となる味岡伸太郎展「KESA」を、9月30日より開催致します。
今回の展覧会はギャラリースペース全体を使ったインスタレーション作品、柔らかな土の色で染め上げられた布を用いた「KESA」と名付けた茶室を東京で初めて展示します。
この茶室は味岡の土への多様なアプローチを示す近年の代表作であり、その空間に入ることで土そのものに抱かれる感覚を味わうことができる唯一無二な作品です。
また 長年にわたり味岡は採取した土に木工用ボンドを混ぜ綿布に定着させて「絵画」として発表してきました。2017年、RED AND BLUE GALLERYでは富士山麓1合目付近20カ所から採取した土をつかった大判のドローイング作品による個展「富士山麓20景之内五」を行いましたが、今回は作家の最新作である愛知県と静岡県の県境に位置する弓張山麓から採取された土での大判ドローイング作品を展示します。
泥染め茶室のインスタレーションに合わせて制作した新作茶碗も多数展示されます。
この機会にぜひご高覧くださいますようよろしくお願い申し上げます。
展覧会概要
展覧会タイトル:味岡伸太郎展「KESA」From ochre to brown earth
会 期: 9月30日(金)~10月22日(土)日・月・祝 休廊
時 間: 12:00~19:00(土曜日~18:00)
※9月30日(金) 13:00~ 10月1、8、15、22日(土)13:00~土染めの茶室「KESA」にて呈茶いたします。呈茶日には味岡伸太郎が在廊予定
「KESA」
仏教徒の多い、インドやタイ、スリランカなどの僧侶は黄褐色の「糞掃衣(ふんぞうえ)」を身に付ける。「糞掃とはぼろのはぎれ布のことであり、牛や鼠によって痛んだ衣や、焼け焦げのある衣、女性の血のついた衣、神廟や塚に捨てられた衣、あるいは世俗の王から布施として受けた衣や死者に着せられていた衣をいう」と、曹洞宗を開いた道元は記している。つまり、人が捨てた衣料、人の執着が離れた布を拾い集めて洗い、樺(かば)色(黄褐色)に染めて縫い合せた法衣のこと。日本では、修行僧たちが、学びの場「安居(あんご)」で糞掃衣に由来する黄袈裟を身につける。
日本の僧が着用する袈裟は豪奢になってしまった。しかし、本来は「糞掃衣」に由来する黄褐色を意味するサンスクリット語のカシャーヤkaṣāyaの音訳が「袈裟」である。
弓張山系に続く渥美半島の数種類の黄褐色の土で染めた布を継ぎ接ぎした茶室「KESA」で大地に抱かれる。
新作ドローイング「弓張山麓地質調査」
弓張山地とは、愛知県と静岡県の県境に、南西に弓状に連なり、太平洋沿岸付近まで約50kmに亘って延びる山域である。愛知県豊橋市・新城市と静岡県湖西市・浜松市北区 にまたがっている。鳶ノ巣山(標高706m)が北東端の最高地点である。
この弓張山麓で土の露出した崖から、上下に18段土を採取し、縦210cm、横156cmのドローイングを制作している。
弓張山地を選んだ理由は特にない。強いて言うなら、弓張という名の響きと、毎日見ている山だから。いい色の土があるかどうかもわからない。だいいち、土に良い悪いなどない。絵画としての色彩は、ドローイングの結果生まれるものである。
水に恵まれた日本の山地では、土は下草や腐葉土に覆われ、殆ど露出してない。土が2m露出した崖など、見つかるだけで幸運である。
これまでのところ、色の変化は少ない。それだけに、ドローイングであることに視点が集中される。色の変化はあればそれもいい、また、無くともそれもいい。
味岡伸太郎 1949年 愛知県豊橋市生まれ
「美術に係わることでデザインが大衆に迎合しない。デザインに係わることで美術が社会との接点を見失わずにすむ。美術とデザインが造る山の稜線上を歩け。どちらへ足をとられても谷に落ちる」画家・山口長男からなげかけられた言葉が活動の基準になっている。現在は精神的にも、物質的にも自然を主題にした美術と、タイプフェイス・タイポグラフィを主にしたグラフィックデザイン。建築のデザイン等を並行して続けている。
●美術個展
1972年、1977年 紅の木画廊、豊橋
1979年、1981年 ギャラリーL、豊橋
1980年 かねこ・あーとギャラリー、東京
1982年 座北島、豊橋
1983年 鎌倉画廊、東京
1986年、1987年、1994年、2000年 双ギャラリー、東京・吉祥寺
1989年 西武百貨店、豊橋
1990年、1992年、1993年、1994年、1995年、1996年、1997年、1998年、1999年、2000年、2001年、
2002年、2003年、2004年、2005年、2006年、2007年、2008年、2009年、2010年、2012年、2013年、
2014年、2015年、2017年、2018年、2019年、ギャラリーサンセリテ、豊橋
1992年、1996年 Galerie Tiller、ウィーン
1993年、1994年、1995年 NICAF YOKOHAMA / パシフィコ横浜、横浜
1997年 NICAF / 東京ビックサイト東京国際展示場、東京
1999年 NICAF / 東京国際フォーラム、東京
1994年 アートフェラーナ、浜松
1995年 INDEX GALLERY、大阪
1995年、2001年 GALLERY APA、名古屋
1999年、2002年 GALLERY HIRAWATA、藤沢
2000年 夢創館、神戸
2000年 TAKADA Gallery、San Francisco
2001年、2003年 ギャラリーなうふ、岐阜
2004年 アートフォルム佐鳴湖VIEW、浜松
2014年 ギャラリー入船、豊橋
2017年、2019年、2021年 RED AND BLUE GALLERY、東京
2020年、2021年 HIRANO ART GALLERY、浜松
●美術グループ展他
1975年 1976 年、1977 年、 墨人展(書) / 京都市美術館
1978年 等迦会展 /瑛九賞 / 東京都美術館
1979年 現代日本美術展 / 東京都美術館・京都市美術館
1982年 舞「神座」 演出・舞台衣装 座北島、豊橋 / 中田島砂丘 / 西武 City8、浜松
1982年 日独芸術交流展 PERFORMANCE「目と耳と口」 / 西武 City8、浜松
1988年 色・形・音をめぐっての三週間 / 双ギャラリー、東京
1990年 WAVE OF ENERGY / 富士山麓、山梨県上九一色村
1991年 「無冠の表現回路 エコロジーアートへ」展 / 名古屋電気文化会館COLOR SAMPL
採集地:豊橋/高塚海岸~嵩山町
1992年 「自然との対話・自己との対話」 / 稲沢市荻須記念美術館
1992年 二つのモニュメントのプロジェクトと新作展 / ギャラリーサンセリテ、豊橋
1992年 モニュメント / 愛知県立豊橋西高等学校
1993年 インスタレーション / 豊橋市立吉田方中学校、豊橋
1993年 土染めの茶室「誠実庵」 / ギャラリーサンセリテ、豊橋
1993年 インスタレーション / 茨城県岩間町岩間分校跡、茨城県岩間町
1994年 コラボレーション(多田正美) / ギャラリーサンセリテ、豊橋
1995年 日本現代美術作家7人展 ブルガリア国立聖キルリ&メトディ美術館、ブルガリア・ソフィア
1995年 SOH 10周展・連鎖・SIX ARTISTS“連環” 年 双ギャラリー、東京
1996年 現代日本のアート7つの点
ニーダーエースストライヒ モダンアートドキュメント センター オーストリア・ザンクト ペルテン
1997年 表出する大地展 / 広島市現代美術館、広島
1998年 国島征二・味岡伸太郎展 / 美浜の家、愛知・美浜
1998年「日本画」純粋と越境・90代の視点から / 練馬区立美術館、東京
2000年「アートでたんけん! 絵画の世界へ」 / 刈谷市美術館、 愛知・刈谷市
2003年 NATURE WONDERLAND 2003 / 愛知こどもの国、 愛知・幡豆町
2004年 アートフォルム佐鳴湖VIEW エントランス、浜松
2005年 双ギャラリー20周年連続展 年 双ギャラリー、東京
2009年 Shanghai New Ink Painting Art Exhibition / 多倫現代美術館、上海
2010年 双ギャラリー25周年記念展 / 双ギャラリー、東京
2011年 「素材の冒険展」 / 豊橋市美術博物館、豊橋
2012年 あいちトリエンナーレ地域展開事業「現代美術展inとよはし」豊橋市美術博物館、豊橋
2012年 土祭 / 栃木県益子町石蔵
2012年 現代美術展ART田ノ嶋39 / 愛知・新城田ノ嶋、ギャラリーサンセリテ・豊橋、
2014年 インスタレーション〈「穹」愛知ノートバージョン〉 / 愛知・新城田ノ嶋
2015年 愛知ノート -土・陶・風土・記憶- / 愛知県陶磁美術館、愛知県瀬戸市
2016年 あいちトリエンナーレ2016 / 愛知県美術館
2017年 ワークショップ「土の色発見・楽焼作りと茶会体験 土・色・茶の湯」
土染めの茶室 / 愛知県陶磁美術館、愛知県瀬戸市
2019年 アイチアートクロニクル展 / 愛知県美術館
農村舞台アートプロジェクト / 豊田市大坂町宮ノ洞熊野神社
ナイン・ストーリーズ / 豊橋市美術博物館