この度、5月20日(土)より松下誠子展「革命前夜」を開催致します。
是非ともご高覧頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
革命前夜(作家ステイトメント)
Security blanket (セキュリティ・ブランケット)とは、安心感を得るため幼児がいつも手にしている毛布の事と辞書にある。幼児は成長するにつれて執着しているものから離れていくが、大人になってからも安堵感を得るために執着するものや行為を見出すことがある。私が制作において、セキュリティ・ブランケットを根底のテーマにおいているのは人間の全体性に近づくためである。個はあらゆるものを内包する全体性に包まれ関係づけられ、群居本能により集団であったり民族であったり、また社会や国家といった組織を形成し、その隅々までに安心防衛毛布の痕跡を露出する。
真理の定義がないのと同様に人間の全体性にも定義はなく特定できるものではない。それ故人間の全体性に近づくためには、生の次元から出発しなければならない。
形は概念、哲学といったものからではなく既にこちら側の体内にある。私の意図と感覚に共振が起きれば、形の中にある躍動物が像が結ぶ。そして私の内部に宿る物象化される種が様々な機能と終結して、より視覚的な過剰を生むことになる。
セキュリティ・ブランケットの解釈を拡散すれば、ワックスの内部は制度から外れた”赦される庭”となる。時間と時間の狭間、空間と空間の狭間、不如意な身体も反乱の試みは赦される。社会から押し寄せる闇、記号、言語を遮断し進化を止める。その内部で魂の情感は熟成し、明日の燃える時を待つ。慈愛のクチバシで武装し世界(社会)に向かう。
今夜は「革命前夜」なのである。
松 下 誠 子
1950年北海道函館市に生まれる 大学卒業後、佐藤碩夫氏に師事し金工を学ぶ
1984年から個展を中心に立体, 油彩, ドローイング, 写真, vide work, パフォーマンスを発表
神奈川県藤沢市在住
(主な個展)
1992 インフォミューズ, 東京(1996, 1997) 微笑, ギャリラリーK, 東京
1994 Coupling, タニシマギャラリー, 東京 球に向かう瞬間の中有, ギャラリー日鉱, 東京
1997 微妙な消息, ギャラリ-・ルデコ, 東京
1998 遅滞, ギャラリー・クラマー, 東京
1999 ガレリアキマイラ, 東京
2000 Self Portraits, アンザイアート・オフィス, 東京
2001 Zone of Retardation, ギャラリー・モニカプレス, ゾウリンゲン, ドイツ
2004 微妙な消息, 双ギャラリー, 東京(2007, 2009, 2012 )
2010 INNER – 彼女は自分の事で忙しい, Soh Gallery K3, 東京
2014 わたしの中の異物 -ヴァイオレンス, 東邦画廊, 東京 赦される庭, Hasu no hana, 東京
2016 企てる庭, ALELIER・K, 横浜