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 赤塚祐二の新作木版画展、ケージとカナリアを10月25日より開催します。

 赤塚祐二は数年前から少しずつ、自分で彫り、自分で摺るという形で木版画の制作を行ってきました。今回、版画工房エディション・ワークス様にご協力をいただき、同工房では10年ぶり6度目の企画として、この木版画シリーズを制作することとなり、弊画廊にて展覧会を開催させて頂くこととなりました。

 『ケージとカナリア』 と題された、5点からなるこの木版画シリーズは、抽象性の中にも具体物を想起されるような形象が各作品に一つずつ描かれています。それらは、見る側の見方によって様々に変容するくらいの曖昧さを残しており、そのことによって、それぞれの心の中にある、記憶された情景へと結びついていくかのようです。また、彫られた木版のぬくもり、和紙と水彩絵の具の柔らかな触感が映像の魅力を強く引き出しています。

 今回の作品は、原画となるドローイングから、赤塚が色版の分け方を検討、設定し、トレースから彫りまで、すべて自身で行いました。そこには、その作家自身の主観による「版割り」がもたらす、際立った有機性が生まれています。そして、それらの版を摺り合わせる時に発生する、作家の想定とは違った形で生まれる現実が、次への展開を生み出していきました。そして、摺りもすべてバレンで行われ、摺りの行程でさらにその複雑な有機性が増幅されています。

 版画の原初に立ち戻ったような技法による、赤塚祐二の新作木版画を是非ご高覧下さい。尚、展覧会では、新作のドローイングも若干数展示される予定です。

 

ケージとカナリア

鳥かご(ケージ)に入った小鳥(カナリア)。絵画の基本的な成りたちを鳥かごにたとえ、その中に表される形象を小鳥にたとえた。ケージは絵画の枠組みや領域を象徴し、カナリアはそこに表されるものの内容を総称している。ケージとカナリアはいつもお互い関係して寄り添っている。ドローイングを重ねるうちこの基本的な仕組みの持つ率直な力を感じた。今回はそれらのドローイングをもとに木版画を制作した。素朴で身近な木版だが、一瞬の筆の動きを人間の身体で時間をかけて版に彫り起こすその行為には、ここのところの膨大で迅速な情報化の動きに比して逆説的な面白さを感じている。

赤塚祐二

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